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実用新案権侵害への対応

1.実用新案権の効力

実用新案権者は、登録実用新案を独占排他的に実施することができ、第三者が登録実用新案の技術的範囲に属する技術を実施した場合には、実用新案権の侵害となります。
実用新案権者は、侵害者に対し、差止めや損害賠償の請求をすることができます。

2.実用新案権の存続期間

実用新案権の存続期間は、出願の日から10年(平成17年4月1日以前の出願については出願日から6年)で満了します(実15条)。

3.技術評価書による権利の有効性の判断

実用新案権の設定登録は考案内容の実体的審査を行なうことなく行なわれるため、登録された権利が有効なものである保証はありません。
そこで、実用新案権を実際に行使する場合には、特許庁に対し、実用新案技術評価(実12条)の請求をする必要があります。
技術評価書とは、特許庁が先行技術調査を行ない、出願が登録要件を満たしているかどうかについて評価した書面をいい、特許庁に請求をすれば、誰でも発行してもらうことができます。

4.侵害を発見したら・・

実用新案権侵害に対しては、以下に示す民事上および刑事上の救済が可能です。

(1)差止請求

実用新案権が侵害されている場合、または侵害されるおそれのある場合、侵害行為の停止または予防を請求することができます。また、これと併せて、侵害に供する物の廃棄、除却を請求することもできます。

(2)損害賠償請求

侵害行為によって損害が生じている場合、損害賠償を請求することができます。なお、損害額の立証は困難であるため、損害額の推定規定が設けられています。

(3)不当利得返還請求

損害賠償の時効(侵害から3年)経過後は、不当利得返還請求によって、自己の受けた損失を補填することができます。

(4)信用回復措置

劣悪な侵害品等によって信用が害された場合、新聞紙上への謝罪広告の掲載等を求めることができます。

(5)実用新案権侵害罪

故意による侵害については、刑事告訴をして刑事上の責任を問うこともできます。

実用新案権を行使するためには、訴訟を提起する前に、技術評価書を提示した警告を行う必要があります(実29条の2)。
また、技術評価書において登録性について否定的な判断がなされているにもかかわらず、権利行使をした場合、将来的に実用新案権が無効になると損害賠償責任を負うことになるため、注意が必要です(実29条の3)。

5.侵害との警告を受けたら‥‥

実用新案権侵害との警告を受けた場合、以下の点を確認すべきです。

(1)本当に実用新案権侵害に該当しますか?

・実用新案権は有効に存続していますか?
  意匠登録原簿にて確認
・実施品は登録実用新案の技術的範囲に入るものですか?
  弁理士による鑑定
  特許庁の判定制度
・正当な権原はありませんか?
  先使用権、中用権・・・

→実用新案権侵害に該当しない場合は、反論することができます。

(2)実用新案登録は有効ですか?

実用新案法では無審査主義が採用されているため、瑕疵のある権利が多数存在します。 そのため、侵害の警告を受けた場合、まずは、提示された技術評価書をもとに、相手方の登録実用新案が無効理由を有さないかを検討する必要があります。
また、技術評価書に記載の文献等からは登録要件を見出せない場合、自ら先行技術を調査することも有効です。

→実用新案登録が無効理由を有する場合、無効審判を請求し、権利を消滅させることができます。

→実用新案権侵害に該当し、登録を無効にすることもできない場合、設計変更などで侵害を回避するしかありません。 また、実用新案権者と交渉し、実施許諾を受けることもできます。

6.無効審判

実用新案登録は、実体的審査を経ることなく行なわれるため、無効理由を含んだ出願がそのまま登録されることがあります。
このような登録を無効にするには、特許庁に対して無効審判を請求する必要があります。
登録無効の審決が確定すると、実用新案権ははじめからなかったものとみなされます。
無効審判の請求、審理、審決については、特許法における無効審判とほぼ同様となります。

7.訂 正

実用新案登録後においても、一定の場合には、実用新案登録請求の範囲、明細書または図面の訂正を行うことができます。この訂正の手続は、無効審判を請求された場合の対抗策として利用することができます。
もっとも、訂正には以下の時期的、内容的制限があります。

(1)時期的制限(実14条の2第1項)

訂正は1回に限られ、以下の場合には訂正を行うことができません。

[1] 最初の実用新案技術評価書の謄本送達日から2か月が経過した場合
[2] 無効審判の最初の答弁書提出期間が経過したとき

ただし、請求項を削除する補正については、上記の回数制限、時期的制限はかかりません。

(2)内容的制限(実14条の2第2〜4項)

訂正は、以下の事項を目的とする場合にのみ認められます。

[1] 実用新案登録請求の範囲の減縮
[2] 誤記の訂正
[3] 明瞭でない記載の釈明

また、訂正は、登録時の明細書、実用新案登録請求の範囲および図面の範囲内においてしなければならならず、実用新案登録請求の範囲を変更、拡張することはできません。


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